・ どうやって意識の上に漢字を乗せていくかだよ。だから例えば聖徳でもやっているように「日常生活の中から漢字を拾う」とか「部分だけ見せて、字を当てさせる」とかね。虫食い読みだよ。類推能力を高めてやるんだよ。
その子なりの漢字の獲得の仕方があるわけだ。その子のイメージとの接点だよ。それを見つけるのが我々の仕事だよ。 (平成三年新年会)
・ 漢字はもともと外国語であったものを日本語化したものなんですよ。元来日本人は文字を持たなかったんですから。
漢字の成立の仕組みを考えられるようになった子の文字習得は早いんです。だから六書は諸君らもきちんと知っていなければなりませんよ。・・・漢字の分解を教師はきちんとできなければなりませんよ。・・・ 知らない人が多いから話しておくと、あの漢字の部首の名称は和語ですからね。中国に行っても、あんなのないですからね。あれは、日本人が考え出した漢字学習の知恵なんです。 (国語教材)
・ 原則的に、僕は漢字は視覚として指導する事が一番効果が上がるというふうに思いますよね。「へんとつくり」を覚えていくような事ではなくて、視覚を、どういう視覚に強い子であるか・・・(話が別の方向に流れる。) (平成四年合宿)
・ (漢字学習のあれこれの話題から)
全文ひらがなの文を書いて漢字に直させる。漢字に直したら振り仮名をつけさせる。
勘で漢字を読む。そこから感覚で読める物を選ぶ。・・・漢字は子どもの感受性を発達させる為の物に使えばいいんだよ。 (昭和六十二年十月例会)
編者 M・M 追記
平成8年、教師だった頃に別に国語主任などでもなかったのですが、県内の国語教育担当者が集められての県主催での宿泊研修に参加ということがありました。
千葉大学の先生による「翻作」などを実例にしながらの読解指導の工夫に関する講演があったのですが、休憩時間にあちこちでやりとりされていたのは「そんなことよりもやっぱり漢字の読み書きよね」「うちのクラスも漢字、ひどいから。あんなの無理無理」等々の会話。
演習としてグループに分かれて凧に関する説明教材を用いて指導案作成があり「工夫をこらした授業を創作してみてください」という指導主事からの注文だったのですが、やはりあちこちから聞こえてくるのは「教育委員会に提出することになるんだから、やっぱりちゃんとしたのにしないと」という声ばかり。
最後に発表の時間があったのですが、実際に10くらいあるグループのほぼ全部がごくごく当たり前の読解指導の案。
うちのグループは、私を入れて4人でしたが、結構面白がってアイデアを出し合い作成。指導主事から絶賛され「是非、みなさんの学校で実践してその結果を報告しあってください」と言われました。(もっとも私はそれから間もなく体調の関係で退職してしまったので、それはかないませんでしたが)
こうした風潮が現在どうなっているかは分かりませんが、もしかしたらますますひどくなっているようにも感じます。
*最近の例として、駿煌会ブログ
http://syunkoukai.edoblog.net/
に、漢字の勉強をはじめとして「学校の全部が大嫌い」と言い出しているあるメンバーの小学2年生の息子のことから始まっての12月14日からのやりとりが載っています。
漢字などの用具言語指導に関しては「小学校 国語の授業はこうする 用具言語編」(学芸図書)にまとまった文章がありますが、既に絶版になっています。
また国語教材研究の講義録でも漢字指導についての回がありますが未整理です。
これらについても早くポイントをブログなどに掲載できればいいのですが・・・。