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上原輝男記念会 上原先生著書からの語録

「上原輝男記念会 上原先生語録集」では元玉川大学教授、上原輝男(文学博士 専攻 心意伝承学)の語録を紹介しています。 非常に多岐に渡っていますが、先生が生涯をかけて探求された、この風土、歴史、文化に根付いた<日本人>ということですべては繋がっています。 多様な価値観によってふだんの生活も国際社会での関りも難しさをます現代社会において、先生の語録は大きなヒントになると考えています。

"若"の思想

"若"の思想
きのうから「ちゅらさん」づいていますが、あの中で一番魂が若いのは「おばぁ」じゃないかと思っています。
年齢的には登場人物の中で最高齢ですけどね。

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感情教育論 昭和58年 学陽書房

"若"の思想――-序にかえて  より

折口学では、「一家系を先祖以来一人格と見て、其が常に休息の後また出て来る」という。つまり、「死は死でなく、生のための静止期間」をいい、生は蘇生であって、新生ではない。ということは、神意神霊(魂)の憑りつくことによって生命が復活するのである。日本語における「若返る」という語も、これで初めて納得がゆく。

 "若"は日本人にとって、根底的な生命存在観だといわねばならない。また具体的な教育の根本 もある。古来日本人にとって、"若"は人間の年齢区分でもなければ、また一定年 容詞でもなかったのである。"若"は"別(わけ)""湧(わく)"などと同じ動詞に想到すると先師の早くからの指摘がある。"若"は蘇生魂の別名とも、またそれに対する日本人の鋭敏な直観とい ってもよいものであった。

 最近、思うところがあって、なつメロから最新曲まで、数冊以上の流行歌謡集について、"若い。 という単語がどのように使用されているか調べてみた。

昭和一〇年の"二人は若い"、昭和一一年 の"愛の小窓"へ若き生命を散らすやら。昭和一二年の"青い背広で"へ若いぼくらの生命の泰 よ、といったぐあいにである。連想的にも、甘さ、青春、生命、新鮮、清純等の語が謳われて当然 と思えるのだが、最近の歌詞にはそれが見当らない。だいいち、"若い"、という語が姿を消している。若さの変貌であろうか。

・・・・・・・・・けがれを知らぬ新雪の、と謳いへ若い人生に幸あれかしと祈る瞼に 涙と愛唱した"新雪"は昭和一七年である。戦時下はへ若い血潮の予科練のと、血気 発想され、散り急ぐ桜花に響えられた。その功罪はいま問わぬとしても、これだけ歌や踊りに明け 今に、いずれにしろ、その歌詞を失うというのは、"若"の思想が衰弱し混迷し だけは確かであろう。

 たまたま見つけた昭四七年"瀬戸の花嫁"では、⋯⋯お嫁に行くの。若い とだれもが心配するけれど⋯⋯とある。

経済成長、高齢社会化という日本人初めての生活体験は、 若さの基準そのものを狂わせ始めているのかもしれない。年齢的なものはもとより、その内容に至 っては、求められ問われることがないのと、日々ますます非行少年、暴走族なる異名が壮んとなる こととは決して無関係ではない。

 まず、"若"の思想を求め直そう、そんな気持ちが働いて、上梓の機となったように思う。
昭和五七年師走 上原輝男

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現代人であっても、同じ生命を宿してこの世に生を受け、生きているわけですが・・・生きる活力はだいぶ弱っているように感じられますよね。案外若い世代よりも、還暦以降の年代の人の方がエネルギッシュに生きているようにみえることもあります。

もちろん介護施設などで弱り切った生活をしているお年寄りもいらっしゃる一方で、そうでない方々がいらっしゃるのもまた事実。
そうしたことの背景には、こうした「若」への意識の違いもあるかもです。

長寿という物理的な時間を問題にしているのではありません。
たとえば「若がえり」という言葉がありますが、肉体が若くなるというだけではなく、挫折回復力のようなエネルギーの回復もさすのだろうなと。むしろそっちの方が万人にとって大切なのかもですね。


上原輝男語録にみる古来日本人の感覚ー16
「いのちの力」
https://ameblo.jp/tanukidayo/entry-12847032228.html

*ウマ娘をきっかけに競馬のことをちょっと知ったわけですが、今の教育って「大逃げ」タイプのことばかり強いているような感じですよね。
でも後半スタミナ切れを起こしてしまうこともある。

生命力とか若の問題って、こういうことからもいえますね。
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プロフィール

HN:
上原輝男記念会
性別:
非公開
自己紹介:
本会は、上原輝男の功績を顕彰し、民俗学・国語教育学の発展に寄与する研究と交流を目的として設立されました。

ここでは上原先生が探求された事柄を、広く一般の方々にも知って頂くために、先生のあらゆる分野の語録を紹介しています。

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