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上原輝男記念会 上原先生著書からの語録

「上原輝男記念会 上原先生語録集」では元玉川大学教授、上原輝男(文学博士 専攻 心意伝承学)の語録を紹介しています。 非常に多岐に渡っていますが、先生が生涯をかけて探求された、この風土、歴史、文化に根付いた<日本人>ということですべては繋がっています。 多様な価値観によってふだんの生活も国際社会での関りも難しさをます現代社会において、先生の語録は大きなヒントになると考えています。

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ツイッター上原語録063 「正月」②追加

正月っていうのは神様と接触するんですよ。日本人はもともとあらゆるところに『神性』を感じたんです。神様と交わる特別な日だから「晴れの日」としていい服をきたんですよ。しめなわをするのもこの中は神様と交わる特別な空間だからきたない服では入るな、という立ち入り禁止のマークだったわけです。

 正月が何故楽しいのかといえば、その原点は神様ですよ。だから正月はゲームをする。先程話した『かける』神様とかけひきをする、かけごとをして試すんですよ。神様が私につくのか相手につくのか証明しようとしているんですよ。だから「今年はついてるな」なんて言うんだろ。負けたら墨をぬったりするのもそれなんですよ。普段のゲームだったら墨なんかつけないじゃないか。神様がついていないことの印をつけるんです。

 「ふく笑い」だって何故正月にするのか・・・墨をつけるのと同じで醜いものを笑うんです。笑っている方には神様がついて、笑われる方には神様がつかない・・・・そんな事をやっているんですよ。現代人になって意識は変わっても無意識はかわっていないんですよ。

 お年玉は何?・・・あれはその年の魂を目上のものが目下のものにわけてやることをしているんです。玉つまり神様を身に付けたから祝福されたんですよ。お餅を食べるのも『持ちのいいもの』『玉のつくもの』『丸いもの』を取り入れるところからきている。だから昔はお年玉というのは丸いお餅を配ったんです。
 そんなふうにしてお正月をすごして気分が晴れてくる・・・それで春が巡ってくるんです。(国語講義)


 折口学では文化形成の基本として「まろうど、まれびと」の信仰を問題にしている。「お客さん」ですよ。「まれにやってくる人」だからまろうど・・客を大事にするんです。それは神様がやってくることだったんです。

 周期的に神様がやってくるのがお正月ですよ。年の初めに神様にやってきてもらって力を授かるんです。・・・お盆と正月って行事の仕方は似ているんですよ。正月は神迎え、お盆は仏迎えだろ。暑さでバテた頃にきてもらってまた力を授かるんですよ。
 で、来てもらったら必ず帰ってもらうのも日本人なんですよ。・『ウルトラマン』『すもう』

(すもうが悪い精霊をこらしめる神事からきている話題のあと)「はねつき」の墨つけだって正月だからするんですよ。相手を醜くして「変な顔」といいたいんです。それは相手をいじめて喜んでいるんではなくて神様に押さえ付けられて悪い精霊が苦しんでいる姿をみて安心しようとしているんです。(児童言語)



 (古事記の話から)「神」から「命」(みこと)に変わっている、命とは「御言持ち(みこともち)なさること」で天津神の言葉を伝達・実行する立場です。これをもっているのが現実の世界にあっては「すめらみこと」つまり天皇だったわけです。天皇が天津神の言葉を受ける、それを実行するのが皇族だったんです。 正月に天皇と会うのは御言(みこと)、年玉をもらいにいくためなんです。新しい年になって新しい玉を得る・・・必ず上から下へと伝えられる・・・それをお年玉といったんです。

 自分の無意識を形成するもの、日本人の習俗については教育者をめざす諸君ならしっかりとわかっていなくてはいけませんよ。日本人は神と交流して生活をしているんです。これは現代においてもかわっていませんよ。「せめてお正月は」の意識を今でも持っているんです。正月からビフテキ食べよう、なんていうことは考えないんです。

 ・・・初もうでで神様に願いに行くのは本来とは逆なんですよ。日本の神は正月になれば守りに向こうから来てくれる・・・だから門松をたてて神様を待つんですよ。           (文学)

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上原輝男記念会
性別:
非公開
自己紹介:
本会は、上原輝男の功績を顕彰し、民俗学・国語教育学の発展に寄与する研究と交流を目的として設立されました。

ここでは上原先生が探求された事柄を、広く一般の方々にも知って頂くために、先生のあらゆる分野の語録を紹介しています。

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