もともとこの対談は「子どもの場のとらえかた」がテーマでした。
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金城
(怪獣ブームの話から)しかし、プームになったからと言って安心しているわけには、いかない。
子どもがものすごく飽きっぽくなっていること。それがものすごいスピードなんだ………だから、そういう意味から、子どもの目をたえず意識して気を配っていますね。
僕としましては、子どものテンポにあわせてはいますが、でもあまり残酷にならず、極端に刺激したりしない工夫はしています。手塚さんの虫プロでは、手塚ピューマニズムがあり、父母団体らの推薦もある。しかし、どうしても、子どもがついてこないという現実もあるわけです。そのバランスが、たいへんむづかしいところです。
上原
・・・・最近の子どもがたいへんあきっぽくなってきたといわれているのですが、それは、場面転換がたいへん早くなってきていると解釈していいでしょう。いわば、テンポの遅いものではだめだと言うのは、テンポの早い場面転換が今日の子どもにできるようになってきているということなのか、それに対してシナリオ執筆の上にもその点を配慮しておられるのか・・・・・
金城
テンポの問題では、僕は、長ったらしいものは書かない。ストーリーが過去へ動くか、人物が激しく行動するか、少し長くなると主人公を外へ出して歩きながらしゃべらせるかして、画面が絶えずじっとしていないものを書きます。
子どもは、背景が変わらないドラマをじっと聞こうとはしない。絵がどんどん変わって行って会話がなくてもおもしろいものでないとテレビはだめですね。
上原
ということは、結局は子どもが楊を捉える場合、場が、どんどん変わってもさしつかえないということになるわけですね。場をどんどん変えるということがテンポが早いということになってくるのですね。つまり、同じ画面では、いけない。絵が変わらなくてはいけない。ということは、場面が変わっていくということですね。それを子どもが好み。またうけるものであるということなのですね。
金城
そうですね。場という言いかたなのかしら?もっと動いているものとして捉えていますね。
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このやりとり、そのまま現代社会にもあてはまりますね。
しかも「子ども」だけではなく大人でも。
考えてみれば当然でしょうね。
この当時話されていた「子ども」が、今「50代 60代」になっているわけですから。
映像だけではないですよね。
「消費社会」によって、すぐに買い替えるというのがあたりまえになってしまっています。
モノを大事に使い続ける、というのがかつては当たり前のことでしたが、今はそう思っていても貫けない。
家電製品など特に修理対応の期限が7年だっり、買いなおした方が安くつくとか。
自分らしさを大切にと、口ではいっていながら、他人にいかに受けるかをかなり気にしています。
ファッションでも自分に似合うお気に入りのものを長年愛用するというのもへっていますよね。
バブルの頃かども、後宮ブランド品も一度みにつけたら、すぐに別のを買うなんていうのが話題になっていました。
一度披露したらもう驚いてくれなくなるからでしょうね。
ただ、ちょっと気になるのは、そうした店舗云々のことでの飽きっぽさが当時もあったにせよ、それらの記憶への残り方がどうも大きく違っているように思います。
これについては個人HPのコミュニケーション雑感シリーズでも触れたことがあるのですが、場面場面のテンポはやくても、それらが集積された物語全体は、かなり長くても受け入れていたと思うんですよね。
そしてそこから重要なこともたくさん感じ取っていた。
そしてそのことが数十年たっても記憶の中に残り続けていた。
*ワニワニHP 内
http://www2.plala.or.jp/WANIWANI/index.html
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そろそろ4月ということでアニメ界ではいわゆる冬アニメが続々と最終回をむかえています。
多くのアニメが1クール(12話)扱いなので、ちょうど春夏秋冬で切り替わるんですよね。
そしてまた4月から春アニメとして新作が数十本はじまります。
年間100本以上が放送されるのが今の世の中。
そして忘れ去れらるのがとにかく早い。放送時にそれなりに話題になっていたものでも、放送終了後数週間でほとんど話題にならなくなります。1~2年したら忘れ去られてしまうものも多い。
昭和のアニメで話題になったものは、アニメファンでなくても何となく知っているという人が今も記憶に残っているものですが、はたして令和の今、放送されていて半世紀たったころに記憶に残っているもの、ウルトラマンのように世代を超えて語り継がれているようなものは数百本、数千本のアニメの中でいくつでしょうね?
この「飽きっぽい」という問題は次回もとりあげたいと思います。
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