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上原輝男記念会 上原先生著書からの語録

「上原輝男記念会 上原先生語録集」では元玉川大学教授、上原輝男(文学博士 専攻 心意伝承学)の語録を紹介しています。 非常に多岐に渡っていますが、先生が生涯をかけて探求された、この風土、歴史、文化に根付いた<日本人>ということですべては繋がっています。 多様な価値観によってふだんの生活も国際社会での関りも難しさをます現代社会において、先生の語録は大きなヒントになると考えています。

「対談 上原輝男 × 金城哲夫(ウルトラマン作者)① 「真の意外性とは予期されるもの」

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金城哲夫
 あの、意外性ってね、侯は、桃太郎の話だってものすごく意外性があると思うのです。でっかい桃が、どんぶらどんぶら流れて来るわけです。まずこれが意外性ですよ。でっけい桃だなと婆さんが、爺さんの帰って来るのを待って切って見た。中から赤ん坊がとび出した。これは猛烈な意外性ってわけですよ。

 鬼ケ島へ鬼征伐に行くでしよ。いぬ、さる、きじが家来っていうのもそうですよ。鬼退冶ですからね。ウルトラマンみたいなものですよ。これは。桃太郎というと一般化した話だと思うけど、よく考えてみると。


上原輝男
 ちっとも変わらないっていうことね。

……ところが僕なんかはね、実は意外ではないんだという考え方をしている。つまり、作られるべくして作られていった作品であって、川上から桃が流れて来るのも、驚かしてやれなんていうでまかせじゃなく、日本人にとって完全な意外性でなく、予期されるところの意外性なんだな。日本人の感覚にぴったりした意外性であるから、あの話は今日まで伝承されて来た。

 子どもにとって、完全な無縁性ならぱ、その作品は当たらない。わからないということになってしまう。期待される意外性でなくては、やっぱりダメなんだと思う。


1968年 昭和43年頃
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参考)「予期されるところの意外性」というようなことを、「的中性」と呼んでいたこともありました。

25日のブログ記事 心意伝承の解明が目的 ~芸能研究はあくまでも材料~
で心意伝承の探求があらゆる人達にとって有意義ということを書きました。

その理由の一端がこのやりとりにも表れています。
テレビ番組視聴者としての「子ども」ということでのやりとりですが、「大人」だってそうです。
テレビ番組に限らず、心に響く・・・というとうのことが起きるのは、無意識をふくめたそれぞれの人の中に、響き合う元になる共通する何かがあってこそなのだと。

だから完全な意外性を狙ってもダメということなんです。それは単なる身勝手になってしう。


ただ、現代社会は見た目の判断とか表面的な知識のレベルで自分にとって関係あるか、ないのかをビシッと即断してしまう傾向があります。
「味わう」ということをなかなかしない。

深い部分からの共感、共振・共鳴は「味わう」という感覚的な部分からわきあがってくるものです。

まだ「自分が自分が」と自説のみを主張して、他人の意見には一切耳をかさない
一方的に自説をまくしたてるマシンガントーク傾向のある人も共感以前に他人の意見に対して防壁をつくり、攻撃しますから、意中性も何もあったものではありません。

それで相手の意見を叩き潰せたら「勝った!」なんていう気持ちに浸る人達があふれていますが・・・それってやればやるほど孤立していくだけで、本当の幸福感は満たされないとおもうんですよね・・・。


今日の個人ブログは
上原輝男語録にみる古来日本人の感覚ー12 「幸せ」
https://ameblo.jp/tanukidayo/entry-12846000023.html

真の幸せも、この内なる世界との関係があればこそ、という内容です。
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プロフィール

HN:
上原輝男記念会
性別:
非公開
自己紹介:
本会は、上原輝男の功績を顕彰し、民俗学・国語教育学の発展に寄与する研究と交流を目的として設立されました。

ここでは上原先生が探求された事柄を、広く一般の方々にも知って頂くために、先生のあらゆる分野の語録を紹介しています。

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