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「心意伝承の研究 芸能編」より
昭和62年1月16日 桜楓社
全体を蔽って、(芸能篇)としたが、決して芸能研究を目的とする謂からではなくて、あくまで、本書における心意伝承研究の素材が芸能に限定されたことを示したまでである。(緒言より)
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これは3月18日のブログ記事
上原輝男の最大関心事 <日本人>って何だろう
でとりあげた事と同じような内容の言葉です。
こうした先生の言葉を繰り返し紹介するのも、そこがはっきりとしていないと、ここでどのような言葉を紹介しても、「自分の生き様とは関係ない」と思われて、そこでオシマイになってしまう恐れがあるからです。
西洋的合理主義が徹底したこともあってか、どうしても今の世の中は
「・・・のため」
「・・・に役に立つ」
ということが明確になっていないと多くの人達の意識にひっかからないんですよね。
ですから、ネットにあふれる情報の多くも、いかにシンプルに分かりやすくがポイントとされています。
長い文章はダメ、とか、動画も短く とか・・・・・
好きなアニメや映画でも早送り再生で済ます人が増えている時代ですから、現代社会の常識から外れた、古来からの<日本人>が受け継いできた無意識の世界の話題などを、長々と書かれてもなかなか読んではいただけない。
しかし「心意伝承」は誰もの無意識の中にも共通にあるもの・・・感情やイメージの動き方のクセも含んで・・・ということですから、あらゆる人達にとって、関りの深いものです。
それこそ普通の人間関係などそうです。
心で悩んでいる人達も、こうした無意識のところから、何が自然で何が不自然なのかを再確認することには大きな意味があります。
子育ても教育も福祉も、人間の成長と一体のことですから、かならず必要です。
芸術や作家などの創作活動の方々にも人間の深い心への共感や感動を感じることは、、まさしく心意伝承との響き合いです。
商業活動・経済活動等々もそうですよね。人間が相手なのですから、どのようなことが響くのか・・・・
そのようなことをあげたらきりがありません。
先生は心意伝承が比較的はっきりと形になってあらわれたものとして歌舞伎などの古典芸能に素材を求めました。
「芸談の研究」「心意伝承の研究」「かぶき十話」等々は、歌舞伎の内容を知らないとはっきりいってよく分からないことが多々あります。そういう場合でも、とりあえず分からないところはどんどん読み飛ばしてもいいと思います。
その中で、ところどころ書いてある「心意伝承」の部分を拾い読みして、ご自身の生活や心とてらしあわせながらお読みください。
先生の文は、格調高いといいますか・・・敢えてややこしい言い回しをしているところもあって分かりにくいのですが、だからこそ逆に「分かろう」とはしないで、「こうかな?」って自分と照らし合わせて自由に考えてみるのが、一番面白い読み方になると思います。
*著書の言葉よりもずっと分かりやすいのが、講義録や会議録などでの 言葉で話された記録 です。
それは別ブログ「たぬきの館 現代に生きる上原輝男」で紹介しています。
なるべくこちらのブログの内容とリンクさせるようにしていますので、関連記事を照らし合わせながらお読みくださると、みなさんとの接点が様々な形でみえてくると思います。
心意伝承の世界を意識することの、日常的な意義の一つは「つぎ」への意識世界をより深めるためです。
上原輝男語録にみる古来日本人の感覚ー11
「次への意識」
https://ameblo.jp/tanukidayo/entry-12845749543.htmlPR