「感情教育論」(上原輝男著 学陽書房 昭和58年初版)の目次です。
「感情についての国語教育」というと物語文の中での登場人物たちの「喜怒哀楽」を読み取っていくこと、と思われがちですが、もっと「人間の根底」と関わる位置づけです。
この目次だけでも一般の「感情教育」とは違った切り口であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
*「より幼い頃からの英語教育」が叫ばれ、指導要領がその方向で改定されていますが、そういった事に関しての危険性について、特に第4章の内容は大切な示唆がされていると思います。
☆感情教育論 (昭和58年 初版)
第1章 感情教育論 1
1 人間発言の動機 3
2 母国語学習指導の支柱″構え″の提唱 15
一 ことばと精神発達 15
二 ”読み”とは 17
三 ”児童の発達過程がわかる”ということ 20
四 ”構え”の導入 22
五 感情表現と構えの符合 26
六 構えと個人差 29
3 人間接触の音声 31
一 言い方の変化と心性の見分け 31
二 ことばは心の共鳴としての音声 33
三 生きた感覚・感情の音声化 34
四 理解は頭脳に音声還元することから成立 40
4 言語機能と感情現象との離反と接触 44
一 「うそ」と感情表現 44
二 つじつまと感情現象 47
三 ことばの虚の面を取り入れる 50
5 言語運用能力と言語操作性 54
一 子どもの言語運用能力 54
二 言語運用能力と外言・内言 56
三 音声化することが記憶 61
四 言語操作性とは 63
6 心意伝承としての国語 66
一 ”三つ児の魂百まで” 66
二 情と実の間 70
三 ”人間が世俗化する”ということ 72
四 世俗に生きる 74
第2章 子どもの言語生態研究 79
″こんにちは″―童心 81
″泣かないから―それで許してあげるんだ” 89
″気になる、気にする″ 99
″どうも、やっぱり、どうせ” 108
″まさか″の建設 116
一 感覚の顔 116
二 笑うことのむずかしさ 125
物思い物言うことの発達 133
一 鼻血がなんでえ! 133
二 小学生の物思う思い方 137
三 小学生の物言う言い方 145
第3章 言語と親心 149
″子どもの喧嘩に親が出られない″ 151
一 ”子どもの喧嘩に親が出る” 151
二 ”おぼえていろ”と”ざまあみろ” 155
三 喧嘩という行動伝承 163
″われら″の親心-学校国語教科書の偏向 170
第4章 母国語・日本語・人間 185
ことばを生き継ぐ―南米移住者子弟の日本語調査 187
一 ことばは運命を持っている 187
二 移住という運命的受難 189
三 ことばの伝承・存続・断絶 191
四 どうして日本語やるの 194
五 どうして西語やるの 200
六 言語混血 206